Soft Meets Pan / Tam ~ Message to The Sun
KND Interview
―TAM『Soft meets Pan』に参加されたきっけかを教えていただけますでしょうか?

当時はまだSOFTのメンバーではなかったのですが、レコーディングなどを手伝っていた流れでこのプロジェクトにも参加させていただきました。

―TAM 『Soft meets Pan』の制作は今から11~12年前になると思います。KNDさんは当時、MOOCHYさんと一緒にトリニダード・ドバゴへ実際に足を運んだそうですが、どのような経験を現地でしましたか? トリニダードの印象や、接触した人々、現地で実際に聴いたスティールパンに関してなど思い出深いことがありましたら教えていただけますでしょうか?

京都で録ったベーシックにオーバーダブしてもらう現地のミュージシャンを探すために、まずはトリニダード中にあるスティールパンチームの練習場をいくつか巡りました。その中で一番治安の悪いとされる地域にあるパンチームの鳴らすサウンド、ムードにグッときて連日通ったりしましたね。そこで、名アレンジャーのKen Professorの情熱的な姿勢に触れたり、若いパンプレイヤーDidoやSerenaと出会い録音させてもらいました。
トリニダード中のパンチームの録音をされていたりと、現地で大変尊敬されている日本人エンジニアの渡辺洋一さんにご協力いただいたお陰でそんな出会いがあったり、名手Earl Brooksさんや、インド系のシタール奏者Mungal Pajasarさんを録音させてもらえる機会を作っていただきました。トリニダードは人口の約半数がアフリカ系、約半数がインド系だということで、行くまで予定にはなかったシタールも録音することにしました。
Earl Brooksさんとの録音が今回の目玉となったと思いますが、当初は日本からやって来たよくわからない僕らに警戒されているような様子だったのが、MOOCHYさんが今回のプロジェクトにかける熱い思いや日本の歴史や境遇について話をして、あなた達と同志だということを伝えたら、ふとスティールパンで阪本九の「上を向いて歩こう」を演奏しだしてくれて、心が邂逅した瞬間には感動しましたね。その後は素晴らしい演奏をしてくれたばかりか、さらにオーバーダブの日程を作ってくれと、違う種類のパンを持ってきて積極的にアレンジもしてくれたりと 神のような働きを見せてくれました。

―トリニダード日本へ戻られてから、どのようなミックス作業に入られましたか? このアルバムだからこそKNDさんの中で特化した何かがありましたら教えてください。

トリニダードでスティールパンを録音し、京都に帰って来てから、さらにSOFTの元メンバーYangBoくんによるホーンアレンジのオーバーダブを行いました。当時拠点にしていた京都のBattering Ramというスペースで残りのオーダーダブやミックス作業を行いました。

―楽器「スティールパン」の魅力を教えてください。

心に響く楽器ということ。

―2021年12月24日にTAM『Soft meets Pan』がアナログとなりリリースされました。再び新しくなった作品はいかがですか?

今の時代にも響く作品だと感じました。素晴らしいリマスタリングやカッティングにより生き生きとした良さが引き出され、経年美化も感じます。

―TAM『Soft meets Pan』の最初のリリースである2010年から、今作リリースの2021年までの間、ご自身の音楽活動はどのような変化がありましたか?

SOFTのメンバーとして全国各地でライブしたり、新たにバンド、プロジェクトを始めたり、エンジニアとして数多くの作品に関わりました。建物の音響や屋外プロジェクションマッピングの音楽を担当したり、公共性の高い活動も増えました。

―コロナ渦がまだ完全に収まっていない世の中ではありますが、今後の活動について、またシャウトしたいことがありましたら教えて頂けますでしょうか?

こうやってレコードを作ったり、ライヴをしたり、映像を作ったり、新たな表現を追求したり、縁を大切に続けて行きたいです。




KND

SOFT、UCND、Kobeta Piano、Kokenshow、Final Drop、Eutro、Zen ensemble、aMadoo、Goo Choki Paa等のメンバーとして活動する電子音楽家/プロデューサー。
映像作品、ライブドローイングやプロジェクションマッピングなど、他分野のアーティストとのセッションや制作を重ねる中、サウンドエンジニアとしても数多くの名盤に関わっている。

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