Soft Meets Pan / Tam ~ Message to The Sun
JUZU a.k.a. MOOCHY / J.A.K.A.M. Interview
—2010年にリリースされたTAM『Soft meets Pan』ですが、当時、制作をしようと思ったきっかけを教えてください。

JUZU a.k.a. MOOCHY / J.A.K.A.M.:2007年、MEMORIESというアルバムをエンジニアの内田君と制作していたのが彼の自宅スタジオで、当時、福岡在住だったのもあり、 制作中は何日か彼の家に滞在していたのもあり、彼の奥さんであるマツリさんとその子供たちとも触れ合う機会が多く、そこからのインスピレーションは大きかったと思います。自分にも小学校に上がったばかりの息子たちがいたので、子供のために絵本と音楽が合体したものを作ろうと思ったのだと思います。13年前なのでおぼろげですが、その当時その内田くんのスタジオでLittle TempoのTOKI君のスティールパンを録音したのも大きなインスパイアになったと思います。古くは、近いところ?で言うとヤン富田さんのスティールパンの使い方にも確実に、潜在的にインスパイアもされていると思います。
そしてもう四半世紀以上の付き合いになるSOFTというもはや現象というかバンドは、自分の中ではサウンドとしても親近感が常にあり、彼らのサウンドとスティールパンは絶対相性がいいと直感的に確信してたので、すべてのピースが思考の中で合致したときにはもう動き始めていました。

—またそこからどのような内容へとなっていきましたか? 作品の魅力について教えてください。

JUZU a.k.a. MOOCHY / J.A.K.A.M.:とにかく、さまざまな人たちの協力、参加によって、自分でも予想できない、予想以上の作品になったことは今、改めてありがたいことだと思います。特にホーンアレンジャーとしても関わってくれたYangBoのおかげでJAZZを感じるリッチなサウンドになったことは最終的にすごく良かったです。

—TAM 『Soft meets Pan』の最初の制作は約11~12年前になると思います。実際にトリニダード・ドバゴへ行かれましたが、現地でのレコーディングの話を聞かせていただけますでしょうか?

JUZU a.k.a. MOOCHY / J.A.K.A.M.:トリニダードという国家、島に上陸するまでにイギリスの大使館に申請しに行ったり、いまだあそこがリアルな植民地制度が続いていることを知ったり、訪れてみて、その植民地までグアテマラの女性が売春しに来なくてはいけない現状を知ったり、個人的には社会の暗部も知れたのは表面だけだと南国のいい感じ、というイメージでしかない、カリブの現状を、よリ認識しました。
そして意外なことにトリニダードの人口の比率が40%インド人、40%アフリカ系(元奴隷)あとの20%が主に中国系アジア人、そして数%ヨーロピアンということも知り、偶然?出逢え、録音もさせていただいたシタール奏者であり、大学副学長の方がインド人で、予想しなかったサウンドを獲れたのも奇跡的流れで、サウンド的にも必然性がある、華やかさ、ディープさを添えてくれました。

—楽器「スティールパン」の魅力を教えてください。

JUZU a.k.a. MOOCHY / J.A.K.A.M.:今思うと、先述したヤン富田氏の作品の影響で、どこかスティールパンに宇宙的?なイメージを持っていたのは今回にもフィードバックがある気がしますが、やはり産業廃棄物であったドラム缶を再利用して、ここまで美しいサウンドを奏でれる楽器にした人たちに心底感謝、感心します。実際にその当時作られたパンも見ましたが、千葉県の面積しかない、その国、その島で、勝手に育まれた民族楽器だと思いますし、先述したイギリスの植民地体制による奴隷としてアフリカから連れてこられた人たちと、アジアにおけるイギリスの植民地であったインドの、悲しみを乗り越えた邂逅が産んだこの文化は、とてもユニークでとても未来的だと思います。

—当時、SOFTのメンバーとはどのような話をされましたか?

JUZU a.k.a. MOOCHY / J.A.K.A.M.:その当時福岡の中古レコード屋、田口商店で購入したマイルス・デイヴィスのギルエヴァンスとのセッション10枚組CD BOXからインスパイアされ、セッション中でも容赦無く演奏をストップさせて、アレンジャーの意図を演奏者に伝える、という手法を取りたいとメンバーに伝えてあったので、かなりサウンド的には緻密に介入させてもらえたと思います。それも気心が知れ、自分のセンスを尊重してくれるSOFTの優しさがあったからでは、と思います。

—最初のリリースから11年の月日を経て、2021年年末にあらたにアナログレコードとしてリリースされることになりましたが、今回アナログ版をリリースすることになったきっかけ、また今の時代にこの作品をアナログにて再度リリースすることの意味について教えていただけますでしょうか?

JUZU a.k.a. MOOCHY / J.A.K.A.M.:おそらく2016年くらいから古い友人であるChee Shimizu氏から話は出ていたと思います。
しかし、2011年3・11後にこの作品にまつわるいろんな事件もあり、関わった関係者の中にくらい影を落としていたのは確かでして、正直あまり触れたくない感情はありました。あまりにも悲しい事件だったので。でも自分のプライベートな状況・心境変化によって、動画を作るのはアリかも!と閃いたところから、今回の話に対してポジティヴになれました。実際に今回関わっていただいたTuff Vinylさんともその後も色々制作をご一緒させてもらっていますし、ヴァイナル、アナログに関しても、またより愛情が深まりました。
実務として、マスタリングに関わってもらった最も古い音楽友達の一人であるSINKICHIとの作業は、長年共に培ってきた音楽的センスを遺憾無く発揮してもらえたと思いますし、大きなジャケットでみるマツリさんの絵、それをいつもカッコよくしてくれるQOTAROOのセンスでより感動できたのが嬉しかったです。フィジカル、手に触れて味わえる現実的温もりってやつですかね。

—2010年当時、絵本を制作しようと思った理由はなんだったのでしょうか? 絵本の魅力を教えてください。

JUZU a.k.a. MOOCHY / J.A.K.A.M.:先述したマツリさんがかなり多くの絵本を持っていて、内田くんが作業している間、お勧めのものなどいろいろ読ませてもらいました。個人的にも幼少の記憶で鮮明に覚えている『花さき山』という絵本の少し暗くて、少し悲しいけど、でもいい話、みたいな絵本が好きだったので、今回作る上ではいろいろ読みつつ、直感的に自分の体験を投影したのはあるのかもしれません。もちろん絵本というかストーリーを書いたことはそれ以前なかったので、色々と自分のスキルの至らなさも感じますが、その至らなさをかき消すほどの音と絵があったので救われたと思います(苦笑)。絵本自体の魅力はやはり子供を対象としながらも、表現の単純さによる明確な意思を簡潔に述べれることかなと。特にメッセージなどがないいい絵本もありますが、フランスやメキシコなどの絵本もどこか神話的だったりするし、非現実であるファンタジーを、まさに現実と非現実でまだ揺れ動く子供たちに伝えることは意外に難易度が高いと思うので、そこもまた製作者としては魅力的ですね。

—そこから月日が経ち、今回は絵本がUAさんの朗読で映像になりました。映像になってみていかがでしょうか?

JUZU a.k.a. MOOCHY / J.A.K.A.M.:UAさんとはとある縁で25年前から認識しあっていて、何度か会って話したり、その当時の内田君の家の近くに住んでたのもあり、自宅にも行ったり、すごく親近感があり、その流れで2010年にリリースされた絵本+CDの帯のコメントも書いてくれました。 その流れで2011年、確か3月18日に開催された青山のCAYでのこの作品のリリースパーティー・ライヴで彼女も参加する予定だったのですが、3・11の原発爆発によって、マツリさんと一緒に九州に避難したことでそのジョイントは実現できませんでした。
今回、彼女がナレーションという形で参加してくれたことは個人的にもすごく嬉しいですし、その事件の後も何回か彼女と話す機会がありましたが、ある意味、個人的な感情から解き放たれ、彼女の表現者としての凄みに触れたことで、自分の中で一つ大きな世界に飛び出れた感すらあります。映像作品というには静止画が動く、紙芝居のようなものかもしれませんが、それでも長年デザイナーとして付き合ってくれるナベちゃんことsatiと一緒にここから何ができるのか、特に子供を飽きさせずに見せていく、聞かせていくためにはどうするかを話し合い、それを彼が具変化させていくという作業は、今後にも繋がる経験になりました。今の時代、映像はとても重要なプロパガンダにもなるので重要ですしね(苦笑)。

―2010年から2021年の間、ご自身の音楽活動はどのような変化がありましたか?

JUZU a.k.a. MOOCHY / J.A.K.A.M.:先述した2011年3・11は大きな変化を及ぼしましたし、プライべートでもたくさん色々ありましたが、危機を何回も乗り越え、自らの理想を通す、という訓練をし続けてきたせいか、この最近のコロナ騒動にも怯んではいませんが、改めて今まで培った知恵を振り絞らないといけない危機感もあります。そして音楽こそこの情報が錯綜し、何がホントかわからない時代に、直感という最後の武器を掘り出す音楽という手法に可能性を、より感じています。

—コロナ渦がまだ完全に収まっていない世の中ではありますが、今後の音楽活動について、またシャウトしたいことがありましたら教えて頂けますでしょうか?

JUZU a.k.a. MOOCHY / J.A.K.A.M.:コロナ渦というのは、政府や企業が止める気がないのは明らかなので、自分たちで終わらせるしか道はないでしょうね。音楽活動としても活動そのものを去勢されないように、用心深く、虎視淡々と、その疑心暗鬼という現象を切り崩していく次第であります。




J.A.K.A.M. (JUZU a.k.a. MOOCHY / NXS /CROSSPOINT)

東京出身。15歳からバンドとDJの活動を並行して始め、スケートボードを通して知り合ったメンバーで結成されたバンドEvilPowersMeの音源は、結成後すぐにアメリカのイラストレイターPusheadのレーベル等からリリースされる。DJとしてもその革新的でオリジナルなスタイルが一世を風靡し、瞬く間に国内外の巨大なフェスからアンダーグランドなパーティまで活動が展開される。 ソロの楽曲制作としても米Grand RoyalからのBuffalo Daughterのリミックスを皮切りに、Boredoms等のリミックス等メジャー、インディー問わず様々なレーベルからリリースされる。2003年にキューバで現地ミュージシャンとレコーディングツアーを敢行したのを皮切りに、その後世界各地で録音を重ね、新たなWorld Musicの指針として、立ち上げたレーベルCrosspointを始動。
音楽制作のみならず、映像作品、絵本や画集 のプロデュース、2012年には野外フェスOoneness Camp"縄文と再生”を企画するなど活動は多岐に渡るが、 2015年から始まった怒濤の9ヶ月連続ヴァイナルリリースは大きな話題になり、その影響でベルリン/イスラエルのレーベルMalka Tutiから新作がワールドワイドにリリースされる。2017年にはDJ TasakaとのHIGHTIME Inc.、2018年にはNitroMicrophoneUndergroundのMACKA-CHINとPART2STYLEのMaLとのユニットZEN RYDAZの活動もスタート。
同年、J.A.K.A.M.名義の楽曲がフランスのレーベルHardFistからアナログリリースされた流れで3万人の巨大フェスNuits Sonores Festivalでのライブを皮切りにヨーロッパ、イスラエル等のDJツアーが敢行される。そして2019年、世界的な支持を受けるMinilogue/Son KiteのMarcus HenrikssonとKuniyukiとのユニットMYSTICSの制作が始まり、2021年、その待望のアルバムがリリースされる。精力的な活動は止まることは無く、七尾旅人との共作シングル、廃墟での撮影も話題になったZEN RYDAZの2ndアルバム、映像作品もリリースされる。またレーベルCROSSPOINTもカタログ番号100番を超え、そのオリジナルなヴィジョンがあらゆるジャンルをまたぎ、世界に広がっている。

Born in Tokyo, he started playing in bands and DJing at the same time when he was 15. As a DJ, he took the world by storm with his innovative and original style, and his activities quickly expanded from huge domestic and international festivals to underground parties. In 2003, he went on a recording tour with local musicians in Cuba. In 2003, he went on a recording tour with local musicians in Cuba, and since then he has been recording all over the world, and started his own label, Crosspoint, as a new guideline for world music.
In addition to music production, he has also produced video works, picture books and art books, and organized the outdoor festival "Jomon and Rebirth" in 2012. In 2017, he collaborated with DJ Tasaka for HIGHTIME Inc. and in 2018, with NitroMicrophoneUnderground's MACKA- CHIN and PART2STYLE. CHIN and MaL of PART2STYLE.
In the same year, his music under the name of J.A.K.A.M. was released in analog form on the French label HardFist, which led to a live performance at the huge 30,000-person Nuits Sonores Festival, followed by a DJ tour of Europe and Israel. In 2019, he will begin work on MYSTICS, a unit with Marcus Henriksson and Kuniyuki of the internationally acclaimed Minilogue/Son Kite label, and the long-awaited album will be released in 2021. In 2021, their long-awaited album will be released. Their energetic activities will not stop, and they will release a single co-written with Tabito Nanao, the second album of ZEN RYDAZ, which was shot in an abandoned building, and a video work. The label CROSSPOINT has a catalog number of over 100, and his original vision is spreading all over the world across all genres.


https://www.nxs.jp
https://linktr.ee/JAKAM
http://soundcloud.com/crosspoint
http://crosspointproception.bandcamp.com
http://twitter.com/Juzuakamoochy
https://www.facebook.com/pages/JAKAM


He has been behind the decks at home and abroad with:
Acid Arab (FR) / Adam Ffreeland (UK) / Alex Patterson (The Orb, UK) Andy Baz (Background Records, Germany) / Asaf Sammuel (islael) / Dego (4Hero, UK) / Fabio (UK) / Francois K (NY) / Fred P(NY) / Foolish Felix (UK) / Grooverider (UK) / I.G.Culture (People, UK) / Jeff Mills (Chicago) / Joe Claussell (NY) Nick the Record (UK) / Marcus Henriksson(Sweden) / Moodyman (Detroit) / Panasea (Germany) PHOTEK (UK) / Storm(MetalHeadz, UK) / Suv (Fullcycle, UK) / Q-Bert & Inbisibl Skratch Piklz, Mix Master Mike with D-Styles, Yogafrog and Shortcut (US) / Theo Parrish(Detroit) / Terre Thaemlitz (US/JPN) / Tom Wieland (Vienna) /DJ KRUSH (JP) / Flying Lotus(US)/ / Boredoms (JP) / FAUST (Germany) / Dennis Bovell(UK) / Dillinger Escape Plan (NY) / Juno Reacter (UK) /Lee Perry (Jamaica) / LKJ (UK) / Lake Trout (US) / Mad Proffesor (UK) / Mala (UK) / Meat Beat Manifesto (UK) / Merzbow , MMW (US) / Yakaza Ensemble(Turkey) etc

His style keeps evolving and defies categorization.
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