No.001

「JUZU a.k.a. MOOCHY インタビュー」

何を隠そう生粋の捻くれっ子である筆者は、例えば「音楽にジャンルなんて関係無い」というテーゼが完全に一般化する昨今、逆に「そうは言えどもやっぱりジャ ンルだろう」なんて思ったりもする。いや、確かに音楽をジャンルでカテゴライズすることはもはや不毛の極地であり、それには何ら異論は持たない。しかし誰 もが疑いもなくそのパッケージ化された言葉を使うのを聞くと、やはり少し違和感を覚えるのだ。それは本能的とも言えるあまのじゃく精神で、こればっかりは 仕方がない。しかしだ。そんな筆者でさえ、やはりジャンルという概念を自分の持つ全てのポケットから一つ残らず捨てざるを得ない音と出会うこともある。そ れがJuzu a.k.a Moochyの放つニューアルバム『Momentos』である。『Momentos』に流れるどこか懐かしく、開放的で、しかしどこか不穏で切ない空気。それは一つのストーリーを紡ぎ出すような、一つの命が生まれ、そ して死んでいくのを見届けるような、遙かなる大地の下で人間の儚さを感じるような、その場にしゃがみこみ小さな石のかけらを手で掴むような、神という漠然 とした存在を感じるような、言葉では言い表すことが不可能な“矛盾”が一定のグルーヴの中に住み込んでいる。
そう、矛盾。まるで革命へと続く機運のような勇猛さと、いつか母の胸の中で聴いた暖かさが同居する『Momentos』。ジャンルを完全に通り越して我々 にその先に感じさせる“何か”。それは一体何なのか。Juzu a.k.a Moochyは、どこで、何を感じ、後に名盤と称されるであろう『Momentos』完成に辿り着いたのか。 大阪のクラブヘッヅ達の度肝を抜いたUnited Underground 鶴の間presents GW 7days 8hoursのトリを飾ったJuzu a.k.a Moochyに、その翌日話を聞いた。


★今日はよろしくお願いします。

Juzu a.k.a Moochy(以下j):よろしくお願いします。

★アルバム『Momentos』に関することを中心に聞いていこうと思いますが、その前に昨日の感想から聞きたいと思います。

j:はい。

★昨日は鶴の間で8時間というロングプレイだったんですけど、まず8時間って単純にトイレとかってしたくならないんですか?

j:それさっきも他の人に聞かれたんですけど(笑)、出ないんですよ。

★そうなんですか?ストイックになるともよおさないんですね。

j:そう。さっきヒカル君(blast head)とも話してたんだけど。出ないね、って。今まで何度かやってるんだけど、その内の1回くらいは行ったことあります。

★曲をかけたまま、っていうことですか?

j:そうですね。でもほとんど無いですよ。

★じゃあお腹減った、とかも無いんですか?

j:腹は…終わる直前に気付いたらいきなり「あ、やべ」って(笑)

★(笑)

j:最中はそんなこと言ってる場合じゃないんで。

★そうですよね。

j:多分忘れちゃうんでしょうね。

★なるほど。でも昨日は8時間なのに最初から結構上げてましたね。

j:そうですね。

★長い時でもいつもあんな感じなんですか?

j:いや、割とゆっくりジャズとかから上げていく時もあるし、でも今回はスタートが24時だったから既にやる気満々な人が多いだろう、と思って。

★ああ、なるほど。鶴の間は何回目だったんですか?

j:もう4回目かな。

★今大阪でもすごく注目されてるクラブなんですけど、印象はどういった感じですか?

j:あそこは自分の身内がやってる所で、やっぱり毎回成長して進歩しようとしてるところがすごく人間味があるっていうか。生き物っていう感じがすごくする。会社として経営してるクラブとはまた違って、人が動くことによって動くクラブだな、って。

★そうですね。でも昨日は最後のほうまでたくさんのお客さんが踊っていましたしすごく良い夜だったと思います。

j:ああ、いやまあ~、まだまだです(笑)

★(笑)ではアルバムの話に行きたいと思います。まずアルバムタイトルの『M』という言葉なんですが、英語じゃないですよね?

j:スペイン語です。“Moment(=瞬間)”と同じ意味ですね。

★由来があれば教えて頂けますか?

j:それはたくさんあるんだけど、まず“momentos”っていう曲が入ってるキューバの女性歌手のCDがあって、それを知り合いから借りて、その後 キューバに行って結構聴きこんでて。それにインスパイアされてた、っていうのもあるし。あとタゴールっていうインドの詩人を福岡の友達に教えてもらって、 その人の詩の中に“瞬間”っていう言葉が出てくるんです。アルバムの中にもその詩を入れたりしてるし。それも理由の一つかな。

★なるほど。

j:まあ実際に自分のやったことも、いろんな所で瞬間、瞬間、を録音して、それを繋ぎ合わして、ってことだし。まあそんな感じで“Momentos”って。

★なるほど。思い入れのある言葉と言うか、いろんな意味が含まれてるんですね。

j:そうですね、思い入れって言ったらもちろんいっぱいあるけど、でもまあ普通に…成り行きで(笑)

★(笑)僕もサンプルをいただきまして、聴かせてもらいました。素晴らしい作品だと思います。まずMoochyさんが感じるアフリカンテイストな音楽の魅力を聞かせてもらえますか?

j:やっぱり生命力。それはすごく重要かな。文字通り“命の力”って言うか、“生きようとする力”って言うか。そういうのは重要なテーマでした。実際にア ルバム自体も、まず生命力っていうのはありながら、プラス大衆的、っていうのはあったかな。でも僕自信は“アフリカ”っていうのはそんなに意識してなく て、どんな世界でも、それはモンゴルでもブラジルでもペルーでも、あとは東京でも青森でも、そういうどこでもある日常的な感覚、バイブレーション…。それ は僕たちの世代だけじゃなくておばあさんから小さい子まで。そういう所で流れる、例えば子守歌みたいなモノとか。

★はい。

j:僕は子守歌と宗教儀式の音楽が究極の音楽だと感じるんです。つまり対象が有形と無形っていう意味で。自分の愛する子供や孫に対するモノと、神っていう 漠然としたモノと。今回もそういう結びつきって言うか、その中でも人間が生まれてからずっと続いてきた連なりがあるわけで。自分も年老いて死ぬし、また生 まれてくるものもあるし。シャーマニックな、神に捧げる曲なんだけど、どこにでもあるような、そういうのを自分なりに求めてた。

★なるほど。制作は主にキューバですか?

j:うん。NXSっていう僕のバンドのメンバーがキューバに住んでたからそこに門戸が開いてて、「来なよ!!」っていうヴァイブがあったんで。自分が キューバマニアなわけじゃないんだけど、たまたま縁があってすぐに行けて。アフリカはモロッコとか行ったことあって、もちろん好きだし興味もあります。ア フリカっていうのは根元的にどんなミュージシャンも絶対に無視出来ない人類のルーツ的な部分だし。

★そうですね。

j:だからもちろん絶対に重要だけど、今回はそういう強烈な原始的なものっていうよりは、バーやレストランや家でかかるような、そういうヴァイブレーショ ンにもチャレンジしたかった。自分の中でそれが最終的な結果としてどうなるかは分からないけど。僕は音楽をジャンルではやってないけど、ヴァイブレーショ ンには領域があると思ってて、それにチャレンジしてる。ジャンルで話をするとビートとかで判断されるから「いろんな曲をかける」って思われるかもしれない けど、重要なのは流れてる雰囲気、その複雑さとか深さとか。音楽を創ってるのもそういう独特のフィーリングを表現したいからだし。

★じゃあビートとかジャンルとかじゃなくて、根底に流れるフィーリングみたいなものを形にしたのが今回の『Momentos』だってことですね。

j:そうですね。それはすごく注意しました。どんな状況であっても、例えば東京の青山のど真ん中であっても、福岡の田舎でも、オーストリアのウィーンで も、どこにいても揺るがないヴァイブレーションみたいなものはキープしたかったから。音響的なこと云々って言っても、それも耳のことじゃなくて、その音を 聴いた瞬間どういうイメージとか感情がわくのか、そういうのはすごく意識したかな。

★なるほど。つまりアフリカ的な音楽がやりたかったんじゃなくて、雰囲気とかを大事にしてたら、結果としてああいったアフリカテイストなモノが出来たということですね。

j:そうそう。フィーリングとしてそう思ってくれたら幸いだし、僕は全然アフリカは意識してなかったから。アフリカって言っても広いから一概には言えない かもね。でも憧れって言うか、自分でもあの大陸には入ったことはあるけど、まだまだ未知な部分はあるだろうし。常にインスパイアされる所ではあるかな。

★そうですね。Moochyさんは“Juzu”っていう風に名乗られることもあるわけですが、それも先ほど言ってた例えば家族が連なっていく、そういった意味でのJuzu(=数珠)なんですよね?

j:そうですよ。元々は昔スケボーやってた時に首に数珠を3本くらいぶら下げてたから、それで“ジュズメン”とか言われてて。それが16,17歳くらいか な。その時は別に深く考えてなかったけど。Moochyっていう名前の持つイメージに少々うんざりしてる所があって、その時にもう一個名前がほしいな、っ て思って。そういえばジュズって言われてたし、数珠っていう意味もちょっとドープだけど、僕は結構仏教的な考えも持ってるんで。意味としては有りかな、っ て。

★仏教の中でもたくさんの思想がありますよね?その中で特に自分の中で音楽と共通するような部分っていうのはありますか?

j:仏教的じゃないかもしれないけど、螺旋的な感覚。サイクルとか。

★輪廻転生とか?

j:そうだね。螺旋的なモノっていうのはグルーヴの中にも必用だと思うし。僕が曲をかける時はどんな曲でも螺旋的なグルーヴっていうのは意識します。あんまり直線的にならないように。そうすることによって時間を超越するような感覚が得られる気がするから。

★なるほど。お話を聞いてたらやっぱり実際に音をどう鳴らすか、どう創るか、っていうより例えば仏教的な考えであったり、そういう面を大切になさってるんですね。

j:そういう所もチャレンジと言うか、ジャンルなんてもはやナンセンスな話になってるし。万国共通で伝えるために、こうやって今僕が大阪の人と友達になっ て触れ合うために、連なりだとか、そういう所を大事にしたいですね。自分がとってる手段はコミュニケートって言うか、何か伝えたい、自分の意見を言いた い、そういう小説みたいな感覚もあるだろうし。ストーリーがあって、いろんなモノに影響を受けてるから。

★はい。

j:例えばブラジルに行った時のこととか。9,11の翌年の2002の2月にブラジルとニューヨーク行ったんだけど、そこですごく対比的に南半球と北半球 を感じて。そこでもインスパイアされたし、後はインドのヒマラヤの上でLife Forceっていうパーティーがあったんですけど、プレイ前に一人でガンジス川まで行ったりして。そこからサールナートっていうブッダが最初に説法を説 いたと言われている場所に行ったり。そこはすごく景色が広くて、巨石とか木がただ生えてて青い空がただ広がってて。そこに行くと日本の仏教のイメージ、 それはジュズとも関係してくるけど、“金ピカで黒光り”って言うのと対極にあるな、なんて思って。“無我”って言うか。すごくスペーシーな世界がそこには あって。それにもすごくインスパイアされたかな。

★そういったスピリチュアルなモノを求めて旅に出たりなさるんですか?

j:う~ん、スピリチュアルっていうほどじゃないけど、単純にガンジス川くらいは見ていきたいなって。そこでインディージョーンズばりのトラブルに巻き込まれたり(笑)

★(笑)なるほど。そう言えばCDを聴くとフィールドレコーディングしたような音が多く使われているように思うんですが、旅先なんかで録ったりするんですか?

j:それもあるしCDの音もあるし。フィールドレコーディングって言うか、そういう意味ではスタジオで録ったのは1曲くらいで、ほとんどは公民館とか野外 ライブハウスとか。向こうは町の雑踏が結構良い音してるから、外の音が入ってもそれ自体がアンビエンスとして機能するかな、って。

★そうですね。でも日本じゃなかなか出来ないことですよね?

j;でも福岡の自分のスタジオは古墳が裏にあって、目の前に森が広がってるような所で。そこにある駐車場で福岡の友達のパーカッショニストとNXSのパー カッショニストと合同で、ほとんど初対面でセッションしてもらって、それを録音してそれをキューバに持って行って、それをキューバの人がヘッドフォンで聴 いてそれを使ったり。

★へえ。

j:つまり瞬間、瞬間を繋ぎ合わせてるんだね。人と人が音楽とか一つの媒体を通じて繋がるじゃないですか。会話だけだと「お前は何?」ってだけだけど。そこに音楽があるだけでみんな音楽に対して集中してクリエイトしようとするから。それはすごく面白かった。

★なるほど。今回生の音がすごく多いですよね?特にパーカッションやリズムセクションもほとんど生で、さっき言ってたフィールドレコーディング的な音が多 いですよね?でもそう思ってたら急に電子音の上音が入ってきたりするじゃないですか。その辺のバランスはどういう風に考えて創ってるんですか?

j;僕自身がギターとボーカルでバンドやってたんで、生音とか電子音とか考える上で違いは全く無いんですよ。バンドやってる時からダブ的なことはやってたし。ボーカルを何重にも重ねたり。そういう事ってもう既にエレクトロニックな音響処理じゃないですか。

★そうですね。

j:ある意味アンリアルな、つまり自然じゃないモノでバーチャルなストーリーを創れるっていうか。フィクションだから。反対にフィクションはフィクション でも…例えば“真理”ってものは言い表すことは出来ないけど、例え話を創ることで他者に伝わることってあるじゃない。それもフィクションなんだけどね。例 えばスターウォーズみたいな世界ってないんだけど、あれから学ぶことは出来るわけで。

★その世界の奥に真理を見ると。

j:そうそう。まあ音響処理って言うのはアンリアルな世界だから。どれだけイマジネーションを沸き立たせるか。それが一番大事かな。

★なるほど。今回は音の録りがすごくきれいで、特に低音の鳴りとか…

j:ウッドベースとか?

★はい。ベースが引っ張る曲が結構ありますね。

j:あれはね、友達がサンレコ(=Sound&Recording誌)で読んだ、とか言ってて(笑)、マイクをタオルで巻いてウッドベースのリア の部分に突っ込んでそのまま弾いてもらったんです。SHUREのゴッパチ(=SE‐58)っていうのはすごく名器で。素晴らしい。(マイクを持ってるふり をしながら)こうやって宣伝してもいい(笑)

★「俺は使ってる」みたいな(笑)

j:そうそう。

★サンレコも読んどくモノですね(笑)

j:そうだね。あとレコーディングですごく感動したことがあって、若いピアニストがいて、公民館にグランドピアノがあるからそこでレコーディングすること にしたんだけど、そのグランドピアノが壊れてて鍵盤が弾くと上がってこないんですよ。だから「これでいいの?大丈夫?」って聞いたら「ノープロブレム」って (笑)

★マジですか。

j:それ聞いた瞬間俺は「かっこいい~」って(笑)。関係無いんだな、って。

★へ~、そういうスタンスって確かにかっこいいですね。

j:そうだよね。

★でも音の鳴り、出音のバランス、そういったモノは本当に秀逸で。今回Moochyさんが全編とおしてプロデュースなさってますが、特にこだわった面ってありますか?

j:今回は出来るだけラジカセでも聴けるモノにすることが理想だったかな。

★なるほど、リスナーのサウンドシステムを選ばない、ってことですね。

j:そうそう。僕はそれなりに良いモノを持ってるけど、それは自分が音楽やってるからであって。やってない人は結構よくないもので聴いてるだろうけど、そ れでも彼らに伝わるように、そういう所を重要視しました。だからどれだけヘボいサウンドシステムで聴いても伝わるんじゃないかな。

★そうですよね。

j:もちろん理想はめちゃめちゃ良いブリブリのサウンドシステムで聴いても良くて、なおかつラジカセで聴いても良い。それは結構難しいんだけどね。でもBob Marleyとかってそういう世界ですよね。

★確かにそうですよね。では今回、現地の方も含めてゲストミュージシャンがたくさん参加されてますけど、ああいうつながりはどこから生まれるんですか?

J:基本的には偶然で、必然で、みたいな。向こうに行って紹介もあったし、たまたま入ったバーで出会ったり。

★そういうのは醍醐味ですね。現地で出会って共に音楽をやれる、っていうのは。

j:うん。スリリングなロールプレイングゲームみたい(笑)。次どうなるのか分からない、っていう。

★もちろん言葉は通じないでしょ?それでもやっぱり音楽を通して通じ合えるものなんですね。

j:そう。それが素晴らしい。やってみると割と楽でした。逆にそういうものが無いと会話しにくいし。

★制作期間はどれくらいだったんですか?

j:キューバから帰ってきてから1年半くらいかな。その前も1年くらいはウダウダやってて、でもやっぱりキューバから帰ってきてからは気合い入りました。 それなりに良いモノが録れちゃったからこれは形にしないとヤバいな、って(笑)。それまでもミックスもアレンジ全部やってたけど、あそこまで生楽器が多い のは初めてだったから、どうやってその響きを出すのか、大変でした。

★例えばパーカッションだけでもものすごいチャンネル数ですよね。

j:そうそう。 もう数学の世界が入りますよね(笑)。マイクの位置とかパターンを忘れちゃって。帰ってきてから大変でした。

★でもさっきの言葉を借りるなら“真理”って言うモノはサッと入ってくるんですけど、「あ、これは創るの大変やっただろうな」っていうのは全面に出てくる感じではないような…

j:ああ、それは確かになるべく伝えないようにしました。

★特にエレクトロニカ系のアーティストって「これ創る作業は大変やっただろうな」っていう感想が先に入ってくるようなことが多くて。でも『Momentos』に関しては音数も多い曲もあるんですが、制作の大変さより音の奥にあるものが聴き取れます。

j:本当ですか?それは~、ありがとうございます(笑)

★あと、リミックスワークも結構の数を手掛けてますよね?今後リミックスでも他の形でフィーチャーするモノでもいいですし、妄想でも死んだ人でも「この人とやりたい!!」っていうようなアーティストっていますか?

j:いますよ。キューバのドン・パンチョっていう人ですね。その人とやりたいからキューバに行った、っていうのもあるんで。その人のCDがもうすごくよくて。昨日も最後の方にかけたんだけど。

★その人は僕分からないんですけど、パーカッショニストですか?

j:そうです。元々はバイオリニストなんですけど。音源とかは売ってないんですよ。何かしらで僕がディストリビュートしたいと思ってるんだけど。あとDJ で言うならニューヨークのハウスで、例えばJoe Claussellなんかは最近親交が出来てきて。そういう人達のプロダクションに…潜り込みたい、っていうと 変だけど、彼らの創ってる音楽はすごく質が高いから。学びに行けるなら行ってみたい。どういう状況でレコーディングしてるのか、とか。

★Joe Claussellとはいつ頃から交流があるんですか?

j:Kuniyukiさん(a.k.a KOSS、Momentosにも参加)の紹介で音源を送ってくれてそれを気に入ってくれて、メールが来て。「おお、Joe Claussellからメールが来た!!」みたいな感じで(笑)。その後は直接メールでやりとりしてて。

★ああいったニューヨークのスピリチュアルハウスってよく聴いてたんですか?

j:元々ハウスのシーンが地元であったから。Paradise Garage(ニューヨークにあった伝説的クラブ)のロゴマークが地元の高架下にペインティングして て。それを「これなんだろう」って思ってて。Larry Levanが死んでから知ったんだけど。あとは、David Mancusoっていう人が福岡に来た時に 僕がサポートしたんだけど、彼と3泊4日くらいずっと一緒にいて。その人がニューヨークのああいったシーンの権化らしくて。もう70過ぎのおじいちゃんな んだけど。本人は60歳って言い続けてた(笑)。

★(笑)

j:そんなおじいちゃんとずっと話してて。エジソンっていうレコード屋があって、そこは割とロック系なんだけどテクノとかヒップホップとかも置いてて。そ こにLoft クラシックっていうコーナーがあって、デビットは普段日本では全然レコード屋には行かないんだけど、そこでずっとロフトクラシックのレコード見 てて。「わあ、デビットが見てるよ」とか思ってて。それで僕が“Love Is The Message”っていう12inchのレコードを買おうとして持ってたらデビットが「何買うの?」って聞いてきて、「これ」って見せたらずっとみてるから「欲しいの?」って聞いたら「うん、ほしい」って(笑)

★(笑)

j:で「ありがとう」って(笑)。その後もレコード屋回って僕に「これ知ってるか?」とか教えてくれて(笑)。まあ彼といろいろ話して。サウンドシステム のこととか。“光悦(こうえつ)”っていうレコード針を使ってて。日本の刀鍛冶屋が針を初めたモノなんだけど、今2代目らしくて。1本30~40万円くら い。

★え!!マジっすか!?

j:うん、20本作って1本出来るらしい。その初代目の人は何を聴いて針を作ってるのかと質問したんです。「良い質問だ」とか先生みたいな状態で(笑)。何だと思います?

★クラシックとかですか?

j:あ、正解。あともう一つ。

★ん~…

j:もう一つはゴスペル。ゴスペルとクラシックを聴いてバランスとか計ってるらしいんです。つまり器楽と声。

★ああ、なるほど。

j:そんないろんな話が出来たんで良かったです。彼にしても音楽に対する知識、それがすごい。それがああいうシーンを育てた理由だと思う。学ぶことが多いな、って改めて感じました。音楽の歴史なんかに意識的だし。そういうのを踏まえた上で文化として捉えてるから。ガキの遊びじゃないな、って。

★じゃあMoochyさんもそういった歴史を踏まえて愛しながらやっていきたい、と。

j:そうですね。音楽には感謝してるし、その中で生きれたらな、と。

★クラブに愛着はありますか?

j:ありますよ。やっぱり思い出もたくさんありますし。DJとアルバムとは全然違う内容だったりするけど。

★音楽作る時とDJする時は違いますか?

j:全然違いますね。音楽を創る時はやっぱり考えちゃうから。DJの時はなるべく考えないようにします。

★直感を大事に。

j:はい。でも機材もそうやって直感でいじれるようになれればな、って思います。まだまだですね。Adrian SharwoodとかLee Perry、King Tubbyとかは機材をフルで活かしてるだろうし。

★そうですよね。では現在福岡に在住なさってるんですよね?なぜ九州に行ったんですか?

j:理由はめちゃめちゃあるんだけど。DJで行ったりしてて。九州っていう島はすごく魅力的だと思うし。自分的にすごく日本っぽい。「日本ってどこ?」って考えると直感的にあの辺を考えちゃう。誰でも九州って“熱い”っていうイメージありますよね?

★ありますね。日本男児=九州男児みたいな。

j:うん、場所的にはすごく良い。自然もたくさんあるし。元々都会っ子だからそういうのにすごく憧れる。

★東京との距離って気になりませんか?

j:なるのはなるけど、今はインターネットもあるし飛行機もあるし。そこは時代の追い風っていうか。今回もコンピューター持ってキューバにレコーディングしに行ったり。

★そうですね。今回はレコーディングしてからオーバーヒートからリリースが決まったんですか?

j:そうです。僕が勝手に行って勝手に録ってきて、それから「こんなの創ってるんです」ってヤン富田さんのマネージャーをやってた人で、僕のサポートを10年くらいやってるひとに渡して。「じゃあやろう」って。NXSもそうで、自分でレコーディングしてそれから…


★そうなんですか。なんだかインディペンデントを地でいってますね。

j:まあ…頼ってますけどね(笑)

★(笑)でもそういう形で響かすことが出来たら一番いいですね。

j:そうですね。いろいろ言われたくないし。出来るだけそのスタンスでずっとやれればな、と。あらかじめ予算が必要だけど(笑)。

★そうですね(笑)。今日は色々なお話を聞けて本当に貴重な時間でした。もし読者の方にメッセージなどがありましたら。

j:アルバム出るんでよろしくお願いします。1回聴くだけじゃ分からなくても10回くらい聴くと何かしら伝わるモノがあると思います。


★分かりました。本当にお疲れの所ありがとうございました。

j:いえいえ、ありがとうございました。

 

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